第3回 芸術文化を通した社会貢献~地域をつなぐヒントを知ろう~

2023年12月2日 会場:新百合トウェンティワンホール

10:00~11:45

講 師:認定特定非営利活動法人日本ボランティアコーディネーター協会研修開発委員 小原宗一氏

内容:地域をつなぐについて、つぎの4項目に分けて話された。

  1. 私達はつながっているか?
  2. 文化芸術と社会貢献の効果
  3. ボランティアのイメージ
  4. 私達は何を大切にするか?

1.なぜ「人と人」「人と地域」がつながる必要があるのか?

内閣府の調査報告によると、国民の1/3が何らかの孤独状況にあると感じている。外出頻度の少ない人、

社会活動に参加していない人は孤独感が強い。年齢にかかわらず友人交流頻度が高い程将来の不安度が低い。

→グループディスカッション:「日常的に交流している友人や困った時に頼りになる人はいるか?」

「地域でどのようなつながりがあったらよいか?」

2.「文化芸術と社会貢献」の効果。 ボランティア活動でどんなことが得られたか?調査によると1位は

「20代は楽しかった、30代は成長した、40代~70代は多くの仲間が得られた、80代は心身の健康が得られた」という声が1番多かった。→グループディスカッション:「文化芸術活動が人々を引き付けて生活の満足度を高める理由は何か?」講師が2人に話し合いの結果を質問した。「得たものを全体で共有できる。」

「新しい情報、新しい刺激、発見がある」との答えだった。アートや社会活動の持つ力で人々がつながる機会が増える。人々の孤独や将来不安を緩和し、生活の質を高め、安心して暮らせる街になるという効果がある。

  

 

3.休憩後は、「ボランティア観」についてどう考えるか?

グループディスカッション:「ボランティアのイメージを色で表すとしたら何色かとその理由?」講師が結果を数人に尋ねた。「グリーン、黄色、ピンク、白」など人によりイメージが異なり、ボランティア観も異なることが分かった。その後カラーコーディネーターによる色のイメージを講師が解説した。

4.最後のグループディスカッション:「芸術」「ひと」「まち」をつなげる活動にはどんなことを大切にしたら良いと思われたか?

「人のために⇔自分のために」「一生懸命やる⇔できる範囲でやる」「責任をもって⇔負担のない範囲で」

「誰でも参加できる⇔ちゃんとした人でないと」「いるだけで意味がある⇔役に立たないと意味がない」

このようなボランティア観の違いが原因で、ボランティアの現場ではその在り方や定義の考え方に違いが生じ、

ボランティア同士やスタッフとの間に不満や不信感が生じることがある。Q&Aは時間の都合で割愛された。

 

感想:長年のボランティアコーディネーション、ボランティアマネジメントの実践経験からの講演は、既にボランティア活動に携わっている方、これから活動しようと思っている方双方にとって、多くの示唆に富んだものだった。講演と言っても一方向の話だけではなく、題目ごとに少人数でのグループディスカッションがあり、参加者は自身の考え方を整理しながら、真剣に意見交換を行った。そうした中で、私達は“ボランティア”という言葉をそれぞれの価値観で捉えるため、ボランティアに対して相反する期待を持つことがあることを再認識した。

方向性の違いや考えが多様なのは当然と考え、話し合う機会をつくる工夫をすることが必要である。

講演にグループディスカッションが有ったことで、参加者の一体感が得られ、これからボランティア活動に参加してみようと言う方も見受けられた。また情報交換の場になったことでも満足感のある講演会になった。

   

(記録:2023.12.7. M.T.)