【アート講座】の記事

踊る細胞(11/23)

投稿日:2019年12月27日

今回は、絵本作家の田島征三さんに「踊る細胞」と題してお話しいただきました。 まず、絵本作家になられた経緯を飄々とした語り口で披露され、時には会場の笑いを誘います。広告会社を3日で辞めてしまった話や、アルバイトで画家の中村正義邸に通っていた際、作品を見てもらい、「君は僕の“絵の具溶き”をやる人間じゃない。僕の同志だ。」と言われたという話が印象に残りました。

中村氏のように田島さんの作品を認め、理解する人々との出会いが絵本作家としての道を開いていきます。和田誠さんや今江祥智さん、赤羽末吉さんとのエピソードが語られました。一方で「汚い絵」「恥を知らない」「絵本のきれいな世界を汚すな」と作品を嫌悪する人々の存在も明かされ、「覚悟の決まった恥知らずになってやる!」と心に決めたそうです。

中盤では「アールブリュット」について語られました。日本では、主に知的障害者の作品と捉えられていますが、「教育を受けていない、生のままのもの」という意味があるそうです。どのような背景を持つ人でもアーティストとして尊敬されなければならないという思いのもと、知的障害を持った方の作品も売る手助けをされていたそうです。行政も関わってもいいし、そのことで彼らの表現を不自由にしてはならないともおっしゃっていました。

 

後半は、近年の制作のテーマとなっている「メッセージ性の強い作品を作るにはどうすればよいのか?」について、新潟の十日町の集落にある、廃校になった校舎の中に最後の在校生3人の思い出を表現した作品や、瀬戸内の大島にある元ハンセン病患者の収容所に作った、かつて患者であった方との対話を元にした作品を映像を見ながら、お話しいただきました。あっという間に予定時間をオーバーしました。「子ども向けと思って、絵本を作ってはいません。僕が子どもだからです。僕がびっくりするものは、ほかにもびっくりする人がいると思って描いています。」という田島さんの言葉が心に響きました。(写真 E-river、記録文 マリリン)