【アート講座】の記事

ベルカントオペラの世界~イタリア ヴァッレ・ディトリア音楽祭から~(10/19)

投稿日:2019年10月28日

講師は今週来日されたばかりのカルメン・サントーロさん。ベルカントオペラフェスティバル・イン・ジャパン2019の芸術監督を勤められます。快活で気さくな方で、大変興味深い講義を伺うことができました。通訳は井内さんで、なかなか区切りが来ないサントーロさんの話をタイミングよく、分かりやすく訳していただきました。

講義は先ず、ヴァッレ・ディトリア音楽祭が開催される南イタリア・プーリア州の街、マルティーナ・フランカの紹介から始まりました。ここはサントーロさんの故郷でもあります。バロック様式の建物で統一された素敵な街がスライドで紹介されました。

音楽祭は1975年の創設で、普段めったに上演されない「忘れられたオペラ」を取り上げることを基本としています。つまりバロックオペラの再発見を目指しています。イタリア国営放送RAIのディレクターの協力があり、ミラノ・スカラ座等の有力メンバーの参加が得られることになり、名高い音楽祭に育ちました。市内のドッカーレ宮殿やサン・ドメニコ修道院の中庭での公演の様子や音楽祭を主催した重要人物、指揮者、歌い手などが写真とビデオで紹介されました。

バロックオペラには典型的な技法が二つあります。一つはレガートで柔らかい優雅な歌い方、もう一つは軽快でスタッカートなども多用する力強い歌い方です。両者に共通するのは決して押さない、自然な歌い方だそうです。ビデオによる実例の紹介で大いに納得しました。バロックオペラには二つのジャンル、すなわち、オペラ・セリアとオペラ・ブッファがあるのは衆知のところですが、ブッファがセリアの幕間劇としてナポリで誕生したという話は興味深いものでした。

講演の第2部として、オペラ・ミニコンサートがありました。

一曲目は楠野麻衣さんのソプラノで、ロッシーニ作曲「結婚手形」より「この喜びをお聞きください」、二曲目は小野寺光さんのバスで、同じくロッシーニ作曲「セミラーミデ」より「おお!止まれ 落ち着け 許せ・・・神々の怒りよ!」、いずれもピアノは吉田彩さんでした。ソプラノとバス、両極端の音域で「優雅さ」と「力強さ」を堪能しました。

 

来る11月15日と17日、今年のフェスティバルの目玉として、アレッサンドロ・スカルラッティのオペラ「貞節の勝利」が、また、16日にはバロックコンサートがいずれもテアトロ・ジーリオ・ショウワで上演されます。ぜひお出かけください。

(記録文 ヒロ  写真 E-river)