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アルテリッカ芸術祭発アート講座vol.6 第5回 「馬場あき子さん講演会」

投稿日:2015年1月11日

第5回アート講座(2014/11/22)に講師として、歌人、馬場あき子さんをお招きし、「能の幽霊たち」と題しご講演を頂きました。

馬場さんは、学生時代より歌誌「まひる野」に拠って作歌。同時に能の喜多流宗家に入門しました。その後、歌誌「かりん」を創刊し今日に至っており、現在は日本芸術院会員、朝日歌壇の撰者を務めています。

No.1

最初に、能の基本についての説明がありました。
まず、能楽の演目には別格に扱われる祝言曲として、「翁」があり天下泰平・五穀豊穣を祈願するある種の神事ともいうべき能があること。
次に「脇能」(神)として神格を持ったものをシテとする、おめでたい能の「高砂」などがあり脇能と言われていること。
続いて今日の講座の主役「幽霊」が登場してくる演目についてお話がありました。

No.2

二番目物「修羅能」(男)について、平家の公達等が主人公で、ほとんどが負け戦で討ち取られた幽霊たちが掛ける面の画像を見ながら、たとえば、「敦盛」については、戦いに敗れた若い青年の面を掛けた平家公達の語りには、源平の戦いの世界に引きずり込まれていくようでした。
「八島」では、義経の衣装の特徴や、「知者は惑わず 勇者は懼れず…」「打ち合い刺し違うる 舟戦の駆け引き…」などの戦の生々しい様子が伝わってきました。
「頼政」は、馬場さんが武将の中では最も好きな人物とおっしゃていました和歌の名手で、辞世の「埋木の花咲く事もなかりしに身のなる果はあはれなりける」が紹介され、複雑な頼政への思いが伝わって参りました。

No.3

三番目物「鬘能」(女)について、美人がシテとなる演目であること、能楽5流の流派による面の違いなどについて説明がありました。
「半蔀」の面、小面ついて、両目の大きさ形状の違いが舞台上での所作により微妙な変化をみせ、表情豊かになることなどを能楽面への、いとおしい愛情をこめて楽しそうにお話しいただきました。
また、「定家」のシテ、式子内親王の痩女面について、定家の愛の妄執により地獄に堕ちた女性の目の周りが落ちくぼんだ痩せこけた、頬に特徴のある面の画像には聴衆からどよめきが起ました。

No.4

四番目物「雑能」(狂)について、「求塚」では、一人の美しい女に二人の男が求愛して起こった悲劇であることを、小面などの画像を見ながら登場する男女3人への憐憫の情を感じさせる解説となりました。
最後に五番目物「切能」(鬼)について説明があり、鬼・天狗などがシテとなる曲で能楽五番立(神・男・女・狂・鬼)においては最後の五番目に演じられ、以上能全体の構成であると締め括られました。

本日は、幽霊が出てくる能について話ましたが、数ある能面の姿・表情にどのような情念が託されているかに思いを馳せ、幽玄の世界を訪ねていただければ幸いですと結ばれました。
最後の画像、大?見(おおべしみ)の口を一文字に閉じて踏ん張った面には笑いが起き、2時間に及ぶ馬場先生の熱心で淀みない、能楽への熱い思いが伝わるお話しとなり、一度は能楽堂に赴きたいとの声も聞こえる中、和やかな雰囲気に包まれ講座が終了となりました。

先生は、アルテリッカしんゆりの能公演で解説を務められ、特に2014、2013アルテリッカでは、友枝昭世さん(喜多流能楽師)と山本東次郎さん(大蔵流狂言師)お二人の人間国宝の競演でも解説とインタビューをされ、同公演は例年満員となっています。

先生から、アルテリッカしんゆり2015の予告があり3度目の人間国宝の競演が実現するようです。
チケットは早く買わないと観られませんと一同を笑わせ会場を退出されました。 忙しい中、馬場先生本当にありがとうございました。

No5

*今回の講座でも、多くのアートボランティアが会場運営のお手伝いをしました。特に、司会のTさん、画像担当のMさん、写真担当のHさんは重責を担われました。ボランティアの皆様ありがとうございました。

(写真提供:ERさん、投稿文:B19さん)