【アート講座】の記事

アート講座vol4 第7回 「作家 島田雅彦が語る 文化芸術論」 講師 作家 島田雅彦

投稿日:2013年1月15日

1月12日(土)の午後に、アート講座「作家 島田雅彦が語る 文化芸術論」と題し、作家で法政大学教授の島田雅彦先生を講師として、昭和音楽大学南校舎5Fの会場にて行われました。

e6e44026d01886f265d3fdddcf8bd54d
本日のアート講座は作家の島田雅彦先生の文化芸術論だ。題名を見るといかにも堅そうな内容で私に理解できるかなという想いで先生を迎えた。先生は背筋を伸ばし2時間休憩も無く立ち続けで講演をされたこと、また前半と後半との彩色を変えた内容にも大変感激をした。極めて論理的で説得力のある講演であったと強く感じた次第である。
前半部分はアートの起源について考えるということから始まったが、人間が言語能力を得た4~5万年前まで遡り、さらに縄文土器のアート性について論じられた。意外であったのは縄文土器の芸術作品としての評価がそんな昔ではなく岡本太郎氏が実用から離れて制作されたものとして評価したのが最初であった事である。また言語はコミュニケーションだけでなく分けるという作用もあるという言葉も新鮮であった。確かにあの世を作りそこから儀式が生まれそして踊り等へ繋がっていくプロセスは分けるという作用の賜であろう。自然に備わっていないものを作り上げるすなわちアートの出現という説明は真に判りやすかった。貨幣とアートの関係の話は極めて興味深かった。宝貝の話、また金持がアート作品を貨幣の代わりに所持するといった話は経済学の面から見ても極めて面白い表現である。アーティストは新しい貨幣を作り出す生産活動をしているのではないか、フィクションライターは贋金づくりをしているような気がするといった話には思わず笑ってしまった。本当に適宜な表現である。また中国の芸術はほとんど屑同然だと言いきり、その値付け過程を話されたが、バブル期の日本の絵画業界の取引を思わず思い出してしまった。非常に哲学的であるが、とても興味をそそる内容であった。

b3fa359b9d5ccb34571bd1ecf4ddc6f4
後半は前半と打って変わって具体的な内容であった。古代ギリシャの三大悲劇に一つ「オイディプス王」を題材に話を進められた。父殺し、近親相姦、犯人探しといったテーマが含まれ人間の運命を冷静に見つめた作品であると解説された。私は小学校3年生の時にこの作品を読んでいるが、正直その時は嫌悪感しか感じなかった。でも先生の言われるように人間の運命という観点でみればまた変わって見方が出来る。このような物語は起承転結といった構造になるが、古代ギリシャで生み出された形式であり、共感を得る道筋であり、数学的証明方法にも近いというお話はとても面白かった。

a2a4dd7c577fad2fe42ac14a3eaad15e
物語は 全て神話が扱っている生、愛、死というテーマで成り立ち、東西諸国を問わずそれを扱ったテーマは受け入れやすいこと、音楽においては形式化が進んだ世界であり、その中で著名な作曲家は形式から逸脱しようとしながら作品を作り上げようとすること、歌舞伎の世界でもまず型を大事にして長じて来ると型崩れを模索していくこと、等芸術は自由勝手にやっているように見えるけれども実は形式にとらわれており、形式を逸脱しようと格闘を行いながら自由を獲得しようと動いているものなのだという話をされた。最後に皆さんも人生を少し踏み外そうとしてこの話を聴いているのではと締めくくられた。
従来の講座とは違った形の講演であり、大変楽しく聴けたと思います。島田先生、新しい作品を期待しております。また新進作家を大勢育成して下さい。
楽しいお話をありがとうございました。(アメリカン・ 写真提供 ERさん))