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アルテリッカしんゆり10周年記念アート講座 第5回「能の女たち(2017/11/25)」

投稿日:2017年12月16日

アート講座第5回は、歌人 馬場あき子先生による「能の女たち」と題した講座です。
久方ぶりに天候に恵まれた土曜日でした。
受講者に女性が圧倒的に多数ということもあり、先生は、能の演目に出てくる女性を採り上げたそうです。

先生は、8つに分類した演目について、鑑賞の観点から、ゆったり、ユーモアを交えながら、聴きやすい口調で説明されました。

1 昔を回想し序之舞を舞う女 では、序之舞が最もゆったりした舞で、眠くなるがそれが上手な舞であることと笑いを誘い、井筒、野宮、半蔀、東北、二人静など、これらは上流階級の女性を描いたものと説明されました。
2 臨機のある才ある女 では、これは中之舞で現世の女性が舞うもので、特に熊野(湯谷)は遊女の世界を描いたものでとても味のある演目と紹介されました。
3 苦悩する痩女 では、痩女が能面の名前であり、死後も苦悩する顔を表しているとし、定家(式子内親王)、求塚(菟名日少女)を挙げ、文学的に面白い作品分野との説明がありました。求塚は美しい女性をめぐる二人の男の争いの話であり、昔も今も変わらない世界と感じたのは私だけでしょうか。
4 仏道を求める女 では、玉葛などの紹介、
5 運命に耐えた女 では、雲雀山(中将姫ノ乳人)、籠太鼓(科人清次の妻)、花筐(継体天皇ノ愛妾)などの作品の紹介がありました。
6 戦争と女 では、最後まで戦って死んでいく男を支える女性を描いた作品とし、巴(巴御前)、摂待(継信ノ母)、大原御幸(建礼門院)などを挙げ、特に大原御幸に出てくる建礼門院が重厚な魅力との説明がありました。
7 子や夫の行方を求めて物狂う女 では、班女(野上ノ遊女花子)、隅田川などの紹介があり、8 鬼となる女 鬼とならなかった女 では、山姥、海人、葵上などの紹介があり、「女は鬼になり、男は神になると言われている」との話には、受講者の女性からは笑いが、男性は苦笑い?の雰囲気を感じました。

最後に先生は、能は生で鑑賞するものなので、今回の講座で学んだ視点を頭に入れて、是非、公演に出かけて欲しいと結ばれました。

とてもお忙しい中、朝早くから講演していただいた馬場先生に感謝するとともに、2018年5月3日の「人間国宝の競演」に受講者の多くの方が鑑賞されることを期待して、報告とします。馬場先生、ありがとうございました。

(文:トニー写真:ウナ・フロール)