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アート講座 VOL.8「特別講座(2016/11/12)」

投稿日:2016年12月2日

アート講座の「特別講座(2016/11/12)」は、映画評論家、日本映画大学学長、佐藤忠男先生の登場です。今回のお話を聞いて、敢えて題を付けるとすれば、「人間の欲望とは何か~今村昌平監督の魅力~」とでも申しましょうか。

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さて、今回の前半は映画観賞(参考上映)です。観賞といっても、後半の講演に向けての問題提起です。日本映画大学新百合ヶ丘キャンパス大教室が会場で、生の映画フィルム(今回はモノクロ)を映写機で見せていただきます。そのフィルムとは今村昌平監督1958年製作「果てしなき欲望」です。佐藤先生評では、この映画は、「最初に今村監督に関心を持った懐かしい作品。彼の作品の中で普通の数本の中の一本、あとは皆傑作だった。あえて、今村さんの普通の映画をこの機会にみてみたい。」と評され、会場から笑いが沸きました。では、なぜ、この作品を本講演の参考上映として取り上げるのかということになりますが、話は後半に続きます。

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1950年代後半、日本は戦後の復興を見せる中で、佐藤先生をはじめ、若い映画人の間から「元気が出る映画を作ろう」という機運が芽生え、その中でも特に「元気のいい若い監督の元気が出る作品」ということで、この今村作品に注目されたそうです。更にこの作品には今村監督が以後の作品に共通して流れる「人間の欲望とは何か」というテーマの原点を感じると解説され、更には「日本の社会における集団のあり方・人々との交わり方」「人間の欲望に対するリアリズム」への拘りにも言及されました。これらのお話を通して、「映画の魅力」とは、ただ映像を楽しむだけではなく、監督が作品を通して何を訴えているかを読み解くということも、魅力の一つだと気づきました。

一方、今村監督は映画界のユニークな教育者として力を注ぎ、日本映画大学を創設されましたが、大学のその後を佐藤先生に託されたのは、今村監督が佐藤先生に対して絶大な信頼を寄せていたと感じました。そんな佐藤先生でなければ計り知れない今村監督の内面の思いをたっぷり語っていただき、正に胸を打つ内容でした。

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